Harvard Business Review 2022年2月号、アジャイル化するプロジェクトマネジメントより
著者:元プロジェクトマネジメント協会会長、アントニオ・ニエト・ロドリゲス
「静かに、しかし力強く、現代の経済の原動力はオペレーションからプロジェクトへと置き換わった」と著者は語る。
20世紀を通じて、オペレーションが膨大な価値を生み出してきたが、21世紀にはいると、多くの技術革新があったにもかかわらず、欧米諸国の経済成長は、ほとんどの期間で横ばい状態が続いている。しかし、その一方でプロジェクトが、より頻繁な組織改革、新製品開発、新技術の導入などを通じて、短期的な業績と長期的な価値創出を牽引している。
オペレーション対プロジェクトという構図で説明されてはいるが、業態によってはオペレーションがプロジェクト形態をとっている業種は多い。たとえば、建設業やコンサルティング業などがある。しかし、この論文が言うプロジェクトは、上記のように、業態そのものを変革し、あらたな価値を創出する活動のことを指している。
問題は、多くのリーダーが、そのようなプロジェクトの価値を見出さず、時間の無駄だと考えていることだと著者は言う。確かに、多くの組織において、変革や改善を目指す活動に参加を求められることは、面倒で邪魔くさいものだろう。しかし、いまやそのようなプロジェクトこそが組織の主要な活動とみなされなければならない時代が到来したのだ。
オペレーション(運営)と変革(プロジェクト)のバランスを取れる企業にこそ未来があるのだが、前者を圧倒的に得意とし、そちらに時間をかけるリーダーがほとんどだと論文は語っているが、組織の中で仕事をした経験を持つものなら誰でも納得できる話だろう。
では、どうするか。プロジェクト参加者がプロジェクトについて学び、さまざまなアプローチについて、組織全体で能力を強化できるようにしなければならない。そのために、組織の全員がプロジェクトの主な構成要素を知り、理解し、生産的に働くことを可能にするフレームワーク、「プロジェクトキャンパス」を紹介している。
このコンセプトは、アレックス・オスターワルダーとイブ・ピュニールが考案した「ビジネスモデルキャンパス」に着想を得たもので、実際、この二人も作成に当たり協力したそうである。
プロジェクトキャンパスは、以下のような構成である:
- 土台
- 目的
- 人材
- 後援者
- 利害関係者
- リソース
- 創造物
- 成果物
- 計画
- 変化
- 投資
- 便益
興味のある方は、以下の刊行物など、情報を調べて欲しい。
当サイトのCONCEPT紹介記事でこの論文を参照しています。