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AIがアフリカを変える

「希望のない大陸」と呼ばれたアフリカだが、AIの導入によってアフリカ経済が抱える問題はかなり解決できると伝える国連大学長の発言。

AIとデータによって、農業の収穫量を改善して食料不安に対処したり、オンライン医療や金融サービスの拡大、物流コストの低減など、多くの分野で所得や労働生産性を引き上げ、持続的な経済成長が実現できるとしている。

問題はアフリカの経済成長率が低すぎることである。雇用が十分ではない一方で、若者の数は今後も増え続ける。しかし、教育分野におけるAIの導入が学習のギャップを埋め、教育も受けやすくなる。

AIのネガティブな面も紹介し、それに対する対応の必要性も説いているが、アフリカ経済におけるAIの可能性を力説する発言である。

この発言に迫力を感じるのは、AIを単に自動化・効率化のための技術として紹介するのではなく、多くの人口を抱えるアフリカ経済そのものの活性化の中心的な役割を持つと主張している点である。

日本はどうだろうか。日本はアフリカと比較したら教育レベルは相当に高いと言えるのだろう。しかし、国際的な経済活動に必要な英語力はどうか。単なる会話力だけではなく、書籍やニュースの読解力はどうかと問われた時、問題ないとはとても言えないだろう。しかし、少なからぬ日本人が次第に感じ始めているように、生成AIによって日本人の「英語仕事」が救われる度合いは相当程度にある。

つまり、常識的な教育水準の比較がどうであれ、アフリカの若者の語学力がAIによって助けてもらえる度合いと、日本人のそれが助けてもらえる度合いは、同程度か、むしろ後者の方が大きい。であれば、大きな経済成長の可能性をアフリカに譲り、日本は成熟しているからそれほどでもないと達観していてはもったいない。AIのインパクトはアフリカも日本も同じだ。つまり、「AIが日本も変える」のである。